インフォメーションスタディクラス一期生卒業報告!
2026年5月21日こんにちは。教頭の久木田です。
2026年3月で、2年間活動してきたインフォメーションスタディクラスが節目を迎えました。
今回は、生徒各自が進めてきた個別プロジェクトの紹介と、全体プロジェクトとして取り組んだTESTPIAを紹介します。
インフォメーションスタディクラスは、高校で学ぶ情報Iの知識をベースにPBL(プロジェクトベースラーニング)形式でプロジェクトを展開していきました。
情報とは?
イラストレータの寄藤文平さんは、情報を「データ」と「インフォメーション」に分けて考えているそうです。
例えば「空」は、ただそこに存在するだけの情報なので「データ」と定義する。
そこに誰かが、その空を見上げて「悲しげな空だなぁ」とつぶやくと、「悲しげな空」は、誰かにとって意味や価値のあるものになる。
インフォメーションはIN(与える)とFORM(カタチ)を組み合わせた言葉なので、「悲しげな空」は「インフォメーション」と定義することができます。
このように考えてみると
情報とは「人間にとって意味や価値のあるデータ」、「誰かがデータに価値を見出したもの」と捉えることができます。
そんな話から、情報とは何か。自分にとって意味や価値のあるものは何かを考えていきました。
高校の情報の授業は、「問題解決」と「価値創造」の観点からスタートするので、自分自身をしっかり見直す良い機会になります。
インフォメーションスタディに参加している生徒と、それぞれの価値を話し合いながらプロジェクトを検討していくと、
そもそも「情報」はどこからやってきたのか?という話につながります。
私たち人間にとって意味や価値のあるデータを探る旅に出ます。
いろいろとリサーチをすると、松岡正剛さんの「情報の歴史を読む」という書籍に辿り着きました。
その本によると、情報の根源は「ビッグバン」にまで遡ります。
私たち人間が生まれた一つの考え方にジョージ・ガモフの「ビッグバン理論」があります。
ビッグバンから38万年後の「宇宙の晴れ上がり」を機に光が宇宙空間を自由に進めるようになりました。
そこから宇宙の全方向から降り注ぐ微弱な電波「宇宙背景放射」が観測できる。
「情報とは必ず遅れてやってくる」「晴れ上がり以前の宇宙は見ることができない」「情報は光と共にやってくる」
この三つがわかると、「情報」とは「光」と定義できます。
イリア・プリコジンは、無秩序へ向かう流れの中でも、ゆらぎによって新たな秩序が生まれる可能性を示しました。
生命も、そのような「秩序化」の一つとして捉えることができます。
宇宙の中心から大エントロピーが動くとそこから遠く離れた場所に小エントロピーが独自に動く。
そこに生命のような負のエントロピーの出現がありうると言っています。
※エントロピー:無秩序さをはかる尺度
一つのイメージとして、
無秩序→カオス→ゆらぎ→自己触媒化→組織化→秩序
のような流れで世界を捉えることもできます。
情報は、このように無秩序へ向かおうとする流れに対して、生命という秩序を生み出します。
情報とは、世界の中に秩序や関係性を見出していく行為とも捉えられます。
こんな話をしているところに、手塚治虫の「火の鳥」展が開催されていました。
皆でこの展示を見にいきました。

そこに描かれた世界は過去も未来も繋がっていて、生命は「全体」であり「個体」であると捉えることができる「エントロピー」と「負のエントロピー」の物語でした。
さあ、あなたにとって意味や価値があるものは?
◼︎ちこちゃん
ちこちゃんにとって大切な世界は、「言語」です。
自作言語を生み出すという壮大なプロジェクトに取り掛かりました。
人間(ホモ・サピエンス)が生物としては弱い個体なのに、現在まで生き残っている(生存競争を勝ち抜いている)理由の一つとして言語を持ったことが考えられます。
言語はそれぞれの文化や地域が大切にしているものによって多様化しています。
ちこちゃんにとって大切な世界観は?
太宰治の羅生門の世界を自作言語で再現できるところからスタートし、自分の言語の型を設定しました。
プログラムで自作言語の翻訳機を作成しました。

https://chiko-cloud.github.io/chiko-translator/
◼︎ななちゃん
ななちゃんにとって大切な世界は、「平和」です。
『地球家族』という写真集をきっかけに世界の人々が感じる平和とは何かに興味を持ちました。
かなり昔に出版された本ですが、その中に潜むデータを分析すると、幸福度は物質的な豊かさではなく「人との繋がり」「宗教や信仰」など、人間が生物として生きるだけなら必須ではない、「想像」によって生み出された“物語”でした。
データを分析することで新たな視点を持つことができます。

https://sonfeelgo.github.io/nana/
◼︎りょうまくん
りょうまくんにとって大切な世界は、「宇宙」です。
情報の根源を辿る旅から、これから人類は宇宙に何を求めていくのか?
これからの衛星の計画を整理し、宇宙に興味を持ってもらえるように、人工衛星の情報をまとめたWebサイトを制作しました。

https://sonfeelgo.github.io/ryoma/
◼︎ゆきとくん
ゆきとくんにとって大切な世界は、「ゲーム」です。
物語を考えるのが好きなゆきとくんは、地球に住むことができなくなった人類の未来をゲームにしました。
その名も「火星開拓録」
◼︎たくみくん
たくみくんにとって大切な世界は、「ガジェット」です。
ARグラスの存在価値を高めようと、Macbookのディスプレイを外し、キーボードを折りたたむだけのサイズで持ち運べるPCの開発を行いました。
様々なパーツの機能と属性を理解し、自作の回路を設計します。
プロトタイプとしては、他者にイメージ共有できるレベルのものが制作できましたがまだまだ改良の余地があるようです。
Gizmodoさんに取り上げてもらって、プチバズりしたようです。
https://x.com/gizmodojapan/status/2037777695694897557?s=20
その他にも、作曲したり学校アプリを開発したり面白い個別プロダクトが生まれました。
そして全体として取り組んできたプロジェクトは「TESTPIA」です。
https://testpia.jp/
様々な学習アプリがある中で、定期テスト対策ができるアプリが少ない、という問題意識から、リサーチを行いました。
そこで見つけたのが「すごい暗記帳」。自分のノートやプリントを写真に撮るだけで問題を作ってくれます。
こんな便利なアプリがあれば、どんどん勉強が進みます。
とは・・・
そんなに上手くはいきません。
結局、伴走してくれる人や、一緒に学ぶ仲間が必要です。
また楽しく学べる仕組みも必要では?という観点からTESTPIAをすごい暗記帳の制作者である岡本さん(株式会社Tanology)と共同開発しました。
遊びとは?
フランスの社会学者ロジェ・カイヨワによると、「競争」「偶然」「模倣」「めまい」と体系化されています。
どうするとつまらない暗記が面白くなるかを考えて、物語を作成しました。
地球に憧れてやってきた宇宙人(バディ)が、みんなと一緒に地球のルールを学びます。
一人じゃないから続けられる。そんな学びをみんなで考えました。
インフォメーションスタディクラスは、小学生からDOHSCHOOL(前ハツメイカー研究所)に通ってくれている生徒が対象の当校集大成のクラスです。
9年間プログラミングからマイクラまで様々な取り組みを通して、自分にとっての意味や価値を問うてきました。
これからそれぞれの進路に向けて、この教室での学びが幸せへのみちしるべになってくれたら嬉しいです。
最後にみんなでカレーを作りました。
みんな料理はほとんど初めてだったみたいですが美味しくできました!
抽象的な考えからの問題解決も重要ですが、具体的な美味しさを味わえる料理も同じくらい重要です。
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